海外教育実地研究 現地報告【その4】
2025年2月21日、実地研究3校目は、シュタイナー教育を実践している「Waldorf Academy」を訪問しました。
シュタイナー教育とは、ルドルフ・シュタイナーの提唱に基づく教育であり、子どもたちの自由な発達を大切にする学びの場です。
この学校には1歳半から中学2年生までの子どもたちが在籍しており、教育のアプローチは7年ごとの節目に応じて変化します。
この学校の大きな特徴は、テクノロジーを取り入れずに教育を行っていることです。
これは、「物事をまず自分で考える力を育てる」ことを重視し、子ども時代には手を使った活動を大切にするという考えからきています。
また、ゲーテの色彩理論に基づき、発達段階に応じて意図的に色を活用しているのも特徴的でした。校舎全体にその考えが反映され、温かみのある環境が整えられていました。
幼児クラスでは、各部屋にキッチンが備え付けられており、家具やおもちゃには木の素材が多く使用されていました。先生が指示を出すのではなく、歌を歌いながら活動を移行していく様子が印象的で、子どもたちは歌に合わせて自然と行動していました。先生が過度に介入せず、子どもが夢中になっていることを尊重する姿勢が感じられました。
学年が上がるにつれ、子どもたちは自分で何かを創り出す経験を重ね、主体性を育むことが重視されます。最終学年の中学2年生のクラスでは、4~5か月かけて自分でテーマを決め、発表会を行うという取り組みが行われていました。児童たちに話を聞く機会もあり、どのようなプロジェクトに取り組んでいるのかを知ることができました。
デイケア施設では、本学の卒業生であるかなざわ ゆうさんに案内していただきました。
教室ごとに異なる色彩が取り入れられており、家庭のような温かみを感じる空間が広がっていました。
校長先生のお話では、「子ども時間をいかに守るか」「安心・安全な環境をつくること」が何度も強調されていました。
シュタイナー教育では、子ども時代を大切にし、その時間を丁寧に育むことが教育の根幹となっています。さらに、特に心に残った言葉は、「子どもに真似されてもいい姿でいる大人であること」という言葉でした。
子どもは大人の姿を見て学ぶ存在であり、先生の在り方がクラスの雰囲気を大きく左右するという話に深く共感しました。
これまで訪問した2校と比べると、Waldorf Academyは家庭的な温かみを重視した教育環境が特徴的でした。
それぞれの学校が異なる教育理念を持ち、それぞれの良さがあることを実感しています。
毎日が新しい学びの連続であり、次に訪問するJICSではどのような教育の場に出会えるのか、今から楽しみです。
【これまでの記事】
その1
その2
その3