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大学院からのお知らせ

心理臨床学専攻 特別講演会を開催いたしました。

大阪大学大学院 内藤智之氏に「ヒトの美的感性の可視化と人工知能への実装について」
という演題で特別講演をしていただきました。

 内藤先生は、本学発達教育学部心理学科の神経生理学・生理心理学などの授業を受け持っていただいています。

 視覚の認知機能の美的感覚など感性を可視化する技術を研究されており、
その技術についてや、人工知能にある人の感性を移植して、そこから人の感性を知る研究について講演いただきました。
大脳の大多数が視覚に関与しているのだが、なぜ物体がわかるのかという物体認識のメカニズムが解明されていないなか、
人が価値判断としている感性について、デザインの良し悪しがなぜ生まれるのかという着目から
様々な実験を経て人種・性別・文化差などで感性の違いが生まれることなど分析データーを見せていただきました。
 例えば、世界的に有名な画家の絵画をみて、視覚情報がどういう経路で感性となるのか絵画の感覚を、
因子分析にして大脳の知覚的処理、認知的処理、無意識的処理になるなど色の統計量で印象の操作ができることがわかりました。
 美と醜の感じ方は個人差があり、特に顔の美醜の判断基準についての実験において人は、選挙、伴侶、就職プロモーション、偏見など・・・実生活では影響するかと思いますが、
例えば、選挙において、候補者が有能であるか否かを投票前の印象と実際の得票を比較して例外もあるが相関があった結果が紹介されました。
 また、女性は、女性を見るとき、何歳に見えるのかが美の基準になっているのですが、

男性は男性を見るとき、年齢が美の基準にはなっていない結果や

女性は顔の美について多様性があるため、美女と野獣のカップルが成立するのかも等、
美醜の分析では、車や家のデザインなど商業的な可能性も紹介されました。
 質問では、虹の色の数について文化差や因子ファクターについて、
何歳から美醜感覚があるのか、対人恐怖症において「怖い」は醜になるのかなどもでました。
 想像以上に優秀な人工知能が、人の感性を再現できるようになる具体的なお話で人工知能の実用化が近いことが垣間見えたように思います。
感性の可視化の技術が、人工知能へ実装されることで臨床現場にも有用であるかもしれないと人工知能の具体的な可能性についてお話いただきました。

 内藤先生には、非常に高度な専門的な話題にも関わらず、非常にわかりやすく選択された言葉でご講演いただき、
学生、教職員ともども大変興味深く聴講させていただきました、ありがとうございました。
内藤先生のこれから益々のご活躍をお祈りしたいと思います。