大学案内

2021年度入学宣誓式 学長式辞 第1部

写真:学長 三井 知代
写真:学長 三井 知代

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。鈴蘭台キャンパスの桜が満開の本日ここに、通学部、編入学、大学院の皆さんをお迎えすることが出来ました。神戸親和女子大学の教職員を代表いたしまして、新入生の皆さんのご入学を心より歓迎いたします。

 また、ご列席の保護者、関係者の皆様にも心よりお慶びを申し上げます。

 さらに、本日来賓の皆さまにご臨席を賜り、第56回入学宣誓式を挙行できますことを厚く御礼申し上げます。

 留学生の皆さん、母国との行き来が難しく苦労が多い中で、本学での留学生活を始められる皆さんを我々教職員は心より応援しております。頑張ってください。

 本日の入学宣誓式は新型コロナウイルス感染症の感染防止対策として、午前、午後の2部に分けて宣誓式を挙行いたします。午前の部は、国際文化学科、心理学科、ジュニアスポーツ教育学科の新入生の皆さんをお迎えしております。  

 皆さんは昨年からこれまでの生活とは全く違った日常を送ることになり、不安や戸惑いを感じてこられたと思います。その中での受験勉強は、自分自身との闘いではなかったでしょうか。皆さんが大学、大学院生活の始まりを迎えられる今日、我々教職員は皆さんのこれまでの努力に心より敬意を表し、またこれからの大学生活にエールを送りたいと思います。

 さて、新型コロナウイルス感染症のパンデミックをきっかけとし、世界の政治、経済、社会的価値の変化、情報科学技術の進歩、そしてそれらに伴う人々の行動や意識の変容など、社会全体が大きく変わろうとしています。皆さんは100年に一度と言われるような大変革時代に社会人として働き始めることになります。そのような激動の世界を生き抜いていくために、そして新たな社会を切り拓いていくために、皆さんはこれから本学で学ぶのです。

 皆さんが本学に入学した目的は多様だと思います。将来は教員、一般企業や福祉施設での勤務、大学院に進学し心理の専門家を目指しておられる方など様々な夢を抱いて入学されたと思います。目標とする職業は様々であっても、本学に入学された皆さんは、大いに学び、自分自身の能力を最大限伸ばし、社会で活躍することにより人々が幸せに暮らせるような社会を実現してください。

 今日は、新入生の皆さんにこれから4年間あるいは2年間で身につけていただきたい3つの力についてお話いたします。それは「課題解決力」「コミュニケーション力」そして「自分の限界を超える力」です。この3つの力を携えて、皆さんに社会に巣立っていただきたいのです。

 1つ目の力は「課題解決力」です。

 皆さんは将来社会で働く時、職場で様々な課題、困難に日々直面すると思います。コロナの大流行の影響もあるでしょう。困難から目をそらさずに、困っていることの中に希望の光を見つけてください。困っていることや困難なことこそが、新たな発見や改革につながる扉となるのです。今回のコロナ禍においても、産業構造の変化、経済、医療システムの問題、貧富の格差、リモートワークなどの働き方改革、コロナ禍における心身の健康維持など、様々な課題が山積しています。そのような課題に向き合う時のために、皆さんは本学の学びや経験の中で、課題を捉え、解決のための仮説を立て、その仮説を検証し、考察する、その繰り返しを何度も重ねていってください。変化が激しい時代には、昨日までの常識や知識が明日には通用しないことも起こりえます。コロナ禍での一年間の経験で、皆さんは幾度となくこのことを実感したと思います。ソーシャル・ディスタンスを取りながら友達とおしゃべりをするなんて、一年前には想像もできなかったでしょう。このような時代において皆さんには、学生生活で単に情報を知識として詰め込むのではなく、どのようにして膨大な情報の中から必要な情報を選択し真理を追究していくのか、そのような学び方の作法を身につけていただきたいと願っています。

 2つ目の力は「コミュニケーション力」です。

 課題の解決のためには、周囲の人々との相互理解が不可欠になります。自分自身はもとより、周囲の人々の考え方やものの見方も大切にし、様々な角度から課題解決を検討していかねばなりません。

 教員や他の学生との議論の中で、自分とは異なるものの見方、考え方があることを理解し、他者とどのように折り合いをつけていくか、あるいは様々な視点を活かした解決策を模索する練習を重ねてください。人々の考え方に耳を傾け、それらの意見を取り入れながら一つの方向性を決めていく。これがコミュニケーションの力であり、社会における多様性、ダイバーシティへの理解を深めることになります。皆さんは本学の学びの中で、相互理解を基盤としたしなやかな考え方を身につけて頂きたいと思います。

 3つ目の力は「自分の限界を超えていく力」です。

 皆さんはこれまで自分自身の能力の限界を感じ、落ち込んだことがあるかもしれません。たとえ失敗し落ち込むことがあったとしても、その経験をポジティブに捉え、前を向いて立ち上がっていく力を携えてください。前向きに進んでくためには、「転んでも立ち上がれるのだ」という自分自身への強い信頼と困難から回復した成功体験が必要です。これからの大学生活で皆さんは様々なことに失敗を恐れず勇気を持って挑戦し、小さなことでも成功体験を積み重ねてください。

 2019年から本学では「超えていけ、じぶん」という言葉を合言葉としてきました。先行きの見えない不安定な社会だからこそ、皆さんに、前向きに力強く生きていっていただきたいという私達教職員の願いがこもっています。3つの力、社会の様々な課題や困難を粘り強く超えていく「課題解決力」、周囲の人々との相互理解を基盤としたしなやかな「コミュニケーション力」、そして「自分の限界を超えていく力」を携えて、「超えていけ、じぶん」と自分自身にエールを送りつつ、困難を乗り超えていってください。

 今から134年前、1887年に「新しい女性の創造」を目指し、親和女学校が神戸元町に開校しました。女性の教育に対する偏見、逆風の中、校祖友國晴子は女子教育の重要性を唱え、強い信念を持って本学園の基礎を築きました。そして1966年には、神戸親和女子大学が開学し、今年開学55周年を迎えます。「豊かな人間性と高度な専門性を備え、社会的課題に主体的に取り組む人間の育成」という教育理念を掲げ、多くの卒業生が日本、世界の各所で自らの専門性を活かし活躍しています。皆さんも本日から「親和学園」の一員です。多くの先輩方が切り拓いてこられた道をより豊かに彩りながら、自由に歩んでください。

 神戸親和女子大学では皆さんが成長し可能性を十分に発揮できる機会を数多く用意しています。皆さんの挑戦を暖かく見守る教職員がいます。何事にも失敗を恐れず挑戦し、自分自身の可能性を拡げてください。

 これからの皆さんの本学での学びや出会いが、皆さんの生涯にわたっての大きな支えとなりますよう願っています。

 本日、神戸親和女子大学に入学された皆さん、保護者、ご関係者の皆様方に、今一度心からのお祝いを申し上げ、皆さんがこれからの充実した大学生活を過ごされるよう祈念し、私の式辞とさせて頂きます。

 あらためて、ご入学おめでとうございます。

2021年4月1日

神戸親和女子大学 学長 三井知代