お知らせ

秋学期を迎えた学生の皆さんへ

学校法人親和学園
理事長 山根耕平

 ようこそ大学へ! 秋学期、みなさんを大学に再び迎えることができとても喜んでいます。春学期は、コロナ禍のために対面授業が満足な形でできなかったこと、やむなくオンラインによる遠隔授業が中心となりました。ほんとうにみなさんには、初めての経験で戸惑うことも、辛いことも多かったと思います。授業だけでなく、外出の自粛も長期にわたったことも、皆さんにとって厳しい期間であったと推察いたします。残念で、申し訳なく思うことも多々ありました。しかし、4月からはなによりも、皆さんをコロナウイルス感染からの守ることが私たちの至上命題であったことをご理解ください。
 9月からは、コロナウイルスの感染状況を勘案しながらですが、対面授業を約6割の規模で実施します。残りの科目はオンラインによる授業が行われます。先生方もオンライン授業の質を上げるために研修を重ねています。ただ、現在の感染状況のもとでは、まだまだ皆さんの健康管理と教育保証の両立を図っていかなければなりません。皆さんには、今後も健康・体調管理に十分に気を使って、勉学と生活を送っていただきたいと思います。教職員が一丸となって、皆さんの勉学と生活をサポートしていきます。
 さて、春学期の経験は、それは世界の大学に共通した経験(実態は苦しい苦しい経験)でもありましたが、世界ではまだまだ、大学が開校されず、オンライン授業を継続している国々もあります。最近も、ニューヨークの小・中・高の学校は、さらに休校を延期するとのニュースを聞きました。一方で、イタリア、カナダや中国では、すべてがどうか分かりませんが、学校・大学が再開するとの情報もあります。子どもたち、世界の生徒・学生のために一日も早い感染の収束と学校・大学の再開を願っています。
 ただ、いずれにせよ、今回のコロナ禍は、私たちに、改めて、「教育とは何か」を考えさせる契機ともなりました。以下、理事長としてではなく、一教育学者として考えたことを少しだけ、お話しさせていただきます。少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
 皆さん、今回のコロナ禍で、一番、苦痛だったことは何でしたか。対面授業が無くオンライン授業が続いたことも、大学に自由に行けなかったことも、友達と会えなかったことも、課外活動ができなかったことも、アルバイトが思うように出来なかったことも、1年生の皆さんにとっては友達ができなかったこと等々が、苦痛の要因だったと思います。同じように、私たち教職員にとっても学生の皆さんが不在の大学は残念で辛いものであったこともご理解ください。
 私は、この苦しさの要因を"human touch"、言い方を変えると"human communication"というキーワードを使って説明できると思います。"human"という言葉の意味を辞書で引いてみると、「人の」、「人間特有の」、「人間らしい」「思いやりのある」などの意味があり、最近は、人間の優しさを意味しているそうです。こういう意味を持つ"human"から皆さんの大学生活(授業も含めて)を構成する事象を挙げてみましょう。考えてみましょう。
 電車やバスでの通学中、また大学内で友人に会ったときの「おはよう。元気!」などのあいさつなど、まさに"human touch"です。授業中の先生の質問に答えたり、分からないことを質問したり、他の学生と議論をしたりする等の幾分緊張する"human communication"もあります。課外活動では互いに切磋琢磨する練習や試合も、食堂で昼食を取りながらの会話も、やはり大切な"human touch"であり"human communication"です。
 私は、こうした毎日のありふれた会話や行動が私たちのそれこそ"human"な在り方を支えているのだと思うのです。私たちの「心の落ち着き」を支えているのだと思うのです。
 皆さんが、今回の自宅・下宿・寮での生活が苦しかったのは、オンライン授業の負担もあったと思いますが、先に挙げた、ありふれた"human touch"(人間らしい触れ合い)や先生や友達と交わすhuman communication"が欠けたからではないでしょうか。大学は、確かに、知識・技能を修得する場ではありますが、皆さんのキャンパスライフは、先に挙げたような種々の"human"な触れ合いや交流が、あってこそ成り立っているのです。
 確かに、デジタル時代になり、オンライン授業のように、便利で、場所・時間に制約されない授業も可能になり、今後、デジタル機器を使った授業はさらに高度化するでしょう。それでも、教育の中心は人間です。人間同士のhumanなつながりや関係です。大学教育はこの点の忘れてはならないと思います。
 私が、春学期について、皆さんに残念で申し訳ないと思ったのは、対面授業も含めて、こうした"human"な触れ合いや交流が無かったからなのです。
 みなさんに、トム・ピーターズという人の言葉を紹介しておきます。
 「今の時代は、これまでよりダントツで『人がいちばん』の重要性が高まっている。」
 (トム・ピーターズ著、久保美代子訳『エクセレント・カンパニー』早川書房、2020年)
  終わりに、みなさんには、今後もコロナ禍は続き、変則的な大学生活を強いられることもあるかもしれませんが、それだけに授業はもちろん、日々のキャンパスでの"human touch"や"human communicationの一つ一つを大切にしてほしいと思います。友達との"human"な信頼関係とつながりを大切に育ててほしいと願っています。
 私たち教職員もみなさんが可能な限り有意義な勉学と大学生活が送れるように真摯に努力していきます。困ったことがあったら、遠慮せず相談に来てください。
 私のコロナ禍でのモットーは「焦るな、徐々に。」です。


神戸親和女子大学
学長 三井 知代

 9月21日から秋学期が始まりました。
鈴蘭台キャンパスに学生の皆さんをお迎えする日を教職員一同楽しみに待っていました。
 学生の皆さんは春学期、急遽始まったオンライン授業に真摯に取り組んでくださいました。皆さんにとりオンライン授業は初めての経験で戸惑いも多かったと思いますが、レポート課題やオンライン上でのディスカッションに、一生懸命に向き合い、頑張ってくださったと思います。
 そして秋学期から、一年生の皆さんは半年遅れで鈴蘭台キャンパスでの生活がようやくスタートすることになります。春学期にはできなかった教員や友人との交流を楽しみ、鈴蘭台キャンパスでの生活に徐々に慣れていただきたいと思います。新型コロナウイルスの感染状況は最近では少し勢いが衰えてきておりますが、引き続き感染予防策を取りつつ、皆さんは大学での新しい生活を始めることになります。
 学生の皆さんが学び、出会う、そして「居場所」としての大学キャンパスの重要性を、今回の経験を通して我々教職員は痛感しています。授業、課外活動など、皆さんが教職員や友人との関わりから多くを学び、それが大学生活の重要な要素となっていることは間違いないでしょう。このような大切な場を守るために、学生の皆さんには学内外で3密を避けること、マスクの着用、手洗いの励行、そしてコンパなど飲食を伴う集会の自粛を今一度お願いしたいと思います。
ただし、いくら気をつけていても感染する場合はあります。私たちは感染した方が早く治るように励まし、暖かく迎え入れ、決して誤解や偏見に基づく差別を行わないようにしましょう。
 秋学期は対面授業とオンライン授業の併用となり、授業開始当初はとまどいや混乱があるかもしれません。教職員一同、皆さんがスムーズに授業に参加できるように気を配っていますが、何か困りごとがありましたら遠慮なく教職員にご相談ください。
また、この時期心身に変調を感じている方もおられるかもしれません。その際には、保健室、学生相談室にご相談ください。
秋学期の皆さんの学びが充実したものになることを願っています。
頑張ってください。