2024年ノーベル文学賞受賞者、ハン・ガン(韓江)氏の著作を展示しています(附属図書館)
2024年のノーベル文学賞に、ハン・ガン氏が選ばれました。
ハン・ガン氏は韓国人として、そしてアジア出身の女性としても初めてノーベル文学賞に選ばれました。
図書館ではハン・ガン氏の著作を展示しています。この機会にぜひご覧ください。
文学部国際文化学科 藤田眞弓准教授のコメント
「2024年度のノーベル文学賞は韓国の女流作家ハン・ガンに決まった。これはアジア人の女性作家初の受賞である。
アカデミーは受賞理由を「歴史的トラウマに立ち向かい、人間の命のはかなさをあらわにした強烈な詩的散文」としている。
私がハン・ガンを知ったのは2016年に『菜食主義者』が英国のブッカー賞(芥川賞と直木賞を足して二で割らないほどの、英国で権威ある文学賞)の国際賞を受賞した時である。「読まなければ」と思いながらも時が過ぎ、2024年『文藝』(秋季号)で藤井光氏(東大文学部准教授・翻訳家)が特集「世界文学は忘却に抵抗する」において「現代を映す10冊」に挙げておられたことを機に読んでみることにした。
何より驚いたのは、彼女の作品が詩と散文の境界(そのようなものがあれば、であるが)を柔軟に行き来し、それを美しく優しく、崩壊させていることである。(私は翻訳で読んだのだが、ハングルで原文が読めたらよかったのに、と思われてならない。)アカデミーの受賞理由にはないが、彼女の作品が「生きることと、死ぬこと」というユニバーサルなテーマを含んでいることも彼女の作品を「世界文学」たらしめているのではないかと思う。
この、ハン・ガンの作品。どれから読もうか迷った場合はThe White Book(『すべての、白いものたちの』)をお勧めする。文章が短く、読み易い、というのは勿論、本を「物理的に」味わうことの素晴らしさを、改めて、強く、感じさせてくれる作品だからである。(実際に、手に取った人にだけ分かる!)
韓流コスメやスイーツもよろしいが、この秋は、韓流文学を楽しんでみてはいかがだろうか。」